試合の見どころと採点のルール
構成と採点
合計点は、3つの点から決まります。
技術点(TES)と演技構成点(PCS)を合計し、転倒などがあれば減点されます。採点にかかわる審判は、複数人ずつの2グループ。技術パネルは、どの要素が行われたかを判定し、ジャッジは、要素の出来栄えと演技構成点を採点します。
TES:テクニカルエレメンツスコアPCS:プログラムコンポーネンツスコア
156.57合計点=85.12TES技術点+72.45PCS演技構成点−1.00減点
例プログラム中の要素は、種類と数が決められています。
ショートプログラムには7つの要素があります。ジャンプが3つ(アクセル・単独のジャンプ・連続ジャンプ)、スピンが3つ、ステップシークエンスが1つです。連続ジャンプは、1つの要素として扱います。
フリースケーティングには11の要素があります。ジャンプが6つ(うち1つはアクセル)、スピンが3つ、ステップシークエンスとコレオシークエンスが1つずつ。連続ジャンプは2本まで入れられます。
今シーズンから、フリーのジャンプは7つから6つに減り、スピンのうち1つがコレオスピンになりました。
要素の点数は、基礎点と出来栄え点の合計です。
技術点は、プログラムの要素ごとの点数を合計したものです。要素の点数は、種類と難しさで決まる基礎点に、出来栄え点(GOE:グレード・オブ・エグゼキューション)を加えて決まります。出来栄え点は、ジャッジがその要素の出来を評価してつける点数です。
要素の点数=基礎点要素の種類と難しさで決まる+出来栄え点GOE最大9人のジャッジが出来を評価
ジャンプの基礎点は、種類と回転数で決まります。
ジャンプは6種類あり、同じ種類でも回転数が1つ増えるごとに基礎点は大きく上がります。前向きに踏み切るアクセルだけは、ほかのジャンプより半回転多く回ります。
| 種類 | 2回転 | 3回転 | 4回転 |
|---|---|---|---|
| トウループ | 1.30 | 4.20 | 9.50 |
| サルコウ | 1.30 | 4.30 | 9.70 |
| ループ | 1.70 | 4.90 | 10.50 |
| フリップ | 1.80 | 5.30 | 11.00 |
| ルッツ | 2.10 | 5.90 | 11.50 |
| アクセル2回転半・3回転半・4回転半 | 3.30 | 8.00 | 12.50 |
連続ジャンプの基礎点は、単独ジャンプの基礎点の合計
連続ジャンプは1つの要素として扱いますが、基礎点は、跳んだジャンプそれぞれの基礎点を足したものになります。
5.903回転ルッツ+4.203回転トウループ=10.10
演技後半のジャンプは、基礎点が1.1倍
疲れが出る後半ほど、ジャンプが難しくなるためです。対象は、ショートでは最後の1つ、フリーでは最後の3つのジャンプです。
要素の出来栄えは、−5から+5の11段階で評価されます。
ジャッジは要素ごとに、出来の良し悪しを11段階で評価します。1段階は基礎点の10%にあたるので、基礎点の高い要素ほど、出来栄えによる点の差も大きくなります。
プラスαジャッジは最大9人です。いちばん高い評価といちばん低い評価を1つずつ除き、残りの平均で出来栄え点が決まります。
回転不足について
ジャンプの回転が足りないと判定されると、足りない量に応じて点が下がります。
- 4分の1まで足りない
- 基礎点はそのまま。出来栄えが下がります
- 4分の1〜半分足りない
- 基礎点が80%になります
- 半分以上足りない
- 1回転少ないジャンプの基礎点になります
演技構成点(PCS)は、3つの項目から構成されています。
演技構成点は、要素ごとの点数とは別に、ジャッジが演技全体を評価する点です。構成・表現・スケーティングスキルの各項目を、0.25から10まで0.25刻みで評価します。
- 構成0.25〜10
- 表現0.25〜10
- スケーティングスキル0.25〜10
演技構成点
項目の点に、種目とショート・フリーごとに決まった係数を掛けて合計します。満点は次のとおりです。
| 満点 | ショート | フリー |
|---|---|---|
| 女子・ペア | 39.90 | 80.10 |
| 男子 | 50.10 | 99.90 |
4回転か、3回転の出来栄えか。
成功が難しくても選手が4回転に挑むのは、基礎点が大きく違うからです。4回転ルッツは、3回転ルッツのほぼ2倍です。
出来栄えは−5から+5まで。1段階で基礎点の10%ずつ上下するので、4回転の方が上下の幅も大きくなります。
4回転ルッツは出来栄えが−2でも、3回転ルッツを+4の出来で跳んだときより点が高くなります。
ただし転倒すると、出来栄えが5段階下がり、さらに1点減点されます。
4回転を入れるか、3回転の出来栄えを上げるか。選手は、4回転をどれだけ確実に跳べるかで作戦を決めます。
例:ジャッジ全員が同じ段階を付けた場合
女子のトリプルアクセル
女子のショートでは、単独のジャンプも連続ジャンプも3回転までで、4回転は入れられません。その中で、必ず1つ入れるアクセルは3回転半まで跳べます。ダブルアクセル(2回転半)ではなくトリプルアクセル(3回転半)を跳べば、この1本だけで基礎点が4.70上がり、ショートで狙える技術点が大きく変わります。
3.30ダブルアクセル8.00トリプルアクセル
連続ジャンプの2本目
連続ジャンプの2本目をトウループからループに変えると、基礎点が上がります。ループはつま先をつかず、着氷した足のまま踏み切るので、2本目に跳ぶのが難しいジャンプです。
- 3回転ルッツ+3回転トウループ
- 10.10
- 3回転ルッツ+3回転ループ
- 10.80
構成が崩れた際のリカバリー
フリーには、連続ジャンプを2本まで入れられます。演技の後半ほど疲れて跳ぶのが難しくなるので、多くの選手が、プログラムの最初に連続ジャンプを跳ぶ構成にしています。
例の構成では、最初の連続ジャンプの2本目が跳べず、単独になりました。ループの4.90点がなくなります。
後半のルッツも単独のままだと、同じ3回転を単独で2回跳んだことになり、2回目の基礎点は80%に下がります。
そこで、後半のルッツに、跳びやすい3回転トウループをつけます。2回目の基礎点も下がりません。
後半のジャンプは基礎点が1.1倍なので、予定との差は0.28点まで縮まります。
このように、予定どおりに跳べなかったあとの構成を変えて、失う点を小さくすることを、リカバリーといいます。